俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2020.09.16 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第7回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 くうくうと雄のよぶ声に誘かれて 鳴かぬ雌がひたと寄り添ふ たけり鳴く恋のあわれさ池じゅうに 雌雄ひしめきてさざ波 起きる 雌の背なにおしかかる雄の重たさに 浮き沈みつつ蛙は交る
小説 『アントライユ』 【第3回】 鈴木 恋奈 彼の父親と私の母が不倫。親族双方殴り合いの大事件になった。だが、彼の母親は「慰謝料は要らないから」とだけ言って姿を消し… 【前回の記事を読む】彼にピアスが増えたら、私は自分の耳にも印をつけて、ニードルを取り出す…「痛い痛い!」それでも彼とお揃いがよかった私たちは新潟県の外れにある小さな町で育った。私は、ボロボロのアパートで生まれた。母親の稼ぎが少なく、泣く泣く住んでいた。幼少期に千春がそのアパートの隣の部屋に引っ越してきたのだ。千春の母親の後ろに隠れる彼の光る涙は私の心を潤した。今でも鮮明に思い出せる。彼の目は女の…
小説 『ぼくとマンゴとエルマーノ』 【第5回】 マイク 峯 ドミニカ共和国で家族でカナル風呂! 南国とはいえ三月の水は冷たくて母さんの一声で… 【前回の記事を読む】「に、にいちゃん、こ、ここのアリかむとよ!」……アリにかまれた譲二ちゃんの足の小指は赤くはれていたドミニカ共和国に着いて、峯家にお風呂ができるまでの一週間は、家族全員、重留さんのドラム缶風呂を借りに行きました。その家は慎ちゃんたちのところから、歩いて十分ほど北西のちょっと小高いところにありました。日本にいたころ、慎ちゃんはいつも近所の銭湯に、父さんや母さんたちと行っていました…