【前回の記事を読む】すでに息絶えた体に、ガソリンをかけて放火。遺体は原形を留めないほど徹底的に損壊され、骨まで炭化していた。
サイコ4――人体発火
麻利衣は意を決して、今まで他人に知られたくなくてずっと隠していた過去を千晶に全て打ち明けた。彼女は真剣な表情でそれを聞いていた。
「麻利衣にそんな過去があったなんて思いもしなかった。麻利衣、本当に大変だったんだね。でも何でもっと早く私に打ち明けてくれなかったの」
「千晶みたいなお嬢様たちがいっぱいのクラスでそんなことが知られたら、きっと昔みたいに陰口を叩かれて除け者にされるに違いない。そう思うと怖くて誰にも言えなかったの。ごめんなさい。千晶、私のこと嫌いになった?」
「そんなわけないじゃない。むしろ麻利衣は被害者でしょ。でも、それじゃ賽子さんに復讐するためにあそこに就職を決めたというわけ?」
「復讐なんて大げさなことじゃないけど、私はとにかく賽子さんにあの時のことを謝ってほしいの」
「でも彼女はその時まだ子供だったわけだし」
「それはもちろん分かってるけど、でも未だに自分のことを超能力者だと信じ切っていて、『私は完全能力者(パーフェクトサイキック)だ』とか言って調子に乗ってるのを見ると、何かムカついてくるのよ。分かるでしょ」
麻利衣のものまねを見て千晶はクスクス笑い出した。
「何がおかしいのよ」
「ごめん、ごめん。でも私は麻利衣と賽子さんはいいコンビだと思うけどな。端から見てて羨ましいほどよ」
「やめてよ、あんな超変人」
「それにね、私は半信半疑ではあるけれども、賽子さんは本物の超能力者なんじゃないかって信じ始めてるの」
「ちょっとやめてよ」
「いいじゃない。この世に科学で割り切れないことがあったって。賽子さんが言うとおり、私たちは科学を知っているような顔して全く分かっていない。目玉が飛び出るような新しい技術を見せられてもそれが科学の結晶だって言われれば、ただそれを信じるだけ。だったら科学も魔法も超能力も私たちにとっては同じようなもの。
タイムマシンはまだ発明されていないけど、私たちは誰でもタイムマシンのことを知っている。科学的には無理であっても、人間の想像力は既にそれを生み出している。それって超能力みたいなものじゃない?」
「ちょっと何言ってるか全然分かんないんですけど」
「まあいいわ。とにかく一度賽子さんのことを信じてみれば。私はあの人は悪い人じゃないと思う。それでも納得いかないようなら辞めればいい。どう?」
「うーん」
麻利衣は渋い顔をしながらストローで紅茶を飲んだ。