2度目の検査が終わると、千晶は親子を診察室に入れて、CT画像を開いて眺めていたが、不意に顔を画面に近づけて食い入るように見つめていた。彼女がなかなか画面から目を離そうとしないので、麻利衣はおずおずと訊ねた。

「どう?」

「ない」

「えっ」

「原発巣も転移巣も完全に消えている。まさかこんな……」

「ほーらー。だから言ったでしょ。其田先生の力は本物なんだって。よかったー。これでまた麻利衣とずっと生きていけるわね」

小百合は喜色満面の笑みを浮かべ、小躍りして喜んでいた。

「そんな馬鹿な……」

麻利衣は呆然とCT画像を見つめていた。

「私、専門医に相談して、今日、内視鏡検査ができないか聞いてくるわ。ちょっと待ってて」

千晶は慌てて診察室を後にした。

「これであんたも其田先生の力を信じる気になったでしょ。ひょっとすると、医者になるより、先生に弟子入りした方が世の中の役に立つかもよ」

「やめて、そんな話」

専門医の許可を得て、臨時で下部消化管内視鏡検査が行われ、狭帯域光観察まで行われたが、悪性腫瘍を示唆するような所見は全く認められなかった。

「信じられない。前回の血液検査では腫瘍マーカーも著明高値で、明らかにステージⅣの大腸癌だったのに、数日で腫瘍が完全に消失するなんて」

千晶は目を丸くして心ここにあらずという様子だった。

「本当に気功が癌を消滅させたってこと……」

麻利衣も狐につままれたような顔をしていた。小百合だけが一人得意満面だった。

「ほら、これであなたたちも其田先生の気功のすごさが分かったでしょ」

その時、院内緊急コールが鳴り響いた。

――院内緊急コール。4階病棟442号室。

「ごめん、麻利衣、私行かなきゃ。お母さん、お大事に」

千晶は聴診器をポケットに突っ込むと慌てて席を立った。

次回更新は3月6日(金)、21時の予定です。

 

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