【前回の記事を読む】「クセ」があるものを好きになる——年齢を重ねると、クサヤやブルー・チーズ、キムチなどの…

【第一章】食を巡る冒険

我がドリアン記念日

独身時代とはうって変わり、日本からのお客様をアテンドする際は、我が家にて食事を差し上げることが増えました。

特に、ドリアンの季節には、デザートとしてガーン・ヤオをお客様にお勧めしていました。

「これがあの悪名高きドリアンです。土産話に一口いかがですか!」と勧めてみますと、

当初、お客様の多くは、「エーッ!」と身を引くような素振りを見せるのですが、好奇心には負けてしまうようで、まずは必ず匂いを嗅ぎはじめ、

「アレー、匂い、そんなにきつくないですね」とのたまう御仁も少なくありませんでした。

次いでに実際に口に入れてもらいますと、「アレーッ、コレなかなかいけるじゃないですか」とのリアクションを取ってくれるお客様が多かったようです。

初めてドリアンを食した邦人で、その後はドリアンを忌避してしまう人が多いのは、個人的にきわめて当然なことではないかと考えています。

それは、私が推測する限り、多分、ドリアンを固い突起のある厚い皮から剥いだのち、かなりの時間がたったものは酸化・発酵してガスのような匂いを発しているからではないでしょうか。

他方、新鮮、かつ、それなりに熟し始めた頃のドリアンの硬い皮を剥いた直後は、その果肉は酸化することなく、通常の果物のように良い香りがただよってくるばかりではなく、味自体もとても芳醇で味も相当美味なのです。