二人の青年が奈津の前に立っていた。二人とも白い作業服を着ていたが、作業服は少しばかり油で汚れていた。
「大西中尉、十河奈津様との面会に参りました」一人の青年が直立不動の姿勢でわざとらしく大声で名乗った。
「寒川三等空曹。大西中尉の面会の立ち合いに参りました」側に立った小柄な若者が同じ姿勢で名乗った。
奈津は二人の硬直した言い方がおかしくて、笑い出した。赤の他人ならば多分笑いはしなかったが、子供の頃から遊びなれた従兄の貞義が、四角四面に言ったのがおかしかった。
「奈津ちゃん笑うのか」貞義は表情を崩して不満そうに言ったが、笑顔で懐かしそうに奈津を見た。
「笑ってごめんなさい。でも……貞義さん、まるで人が変わったように見えたから」奈津は口元を手で押さえながら言った。
「本当に久しぶりだね。兵学校に入るときに会ったきりだしね。俺も少しは立派に見えるかい?」
「ええ、違う人みたい、だけど話したらやっぱり貞義さんはそのまんま」奈津はホッとした。従兄が取り付く島もないような、コチコチの軍人になっていたらどうしようかと心配をしていたのだった。
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