すると、爺さまは意外にも、顔を崩して気前よく許してくれた。併せて技落としの手伝いまで頼まれたのである。年を取って足腰が弱くなった爺さまにとってはもっけの幸いだったのであった。

一方、ケン達は落とした枝の一部を誰にも見つからないような乾燥した場所に溜めておき、秋になると、まずこれらの枝から束ねることにした。

これによって、その年から安定して杉っ葉を確保することができたのである。一挙両得な方法であった。管理人の爺さまともすっかり仲良くなって、時々、大根や菜っぱなどの野菜を分けてもらったりもした。

やつぱり逃げてばかりいてはいけない!

小学5年生のケン達が実地で学んだ大きな教訓であった。

一方の管理人の爺さま。家に帰るや、いつものように晩酌。手酌をしながら子供たちを思った。彼らは突然現れて、子供なりに必死にあいそ(愛想=気をつかうこと)をふりまいた。

「ねら(おまえたち)、なんでや」と言いつつ、キャラメルと刻み煙草、そして子供たちのきらきらした目に、すっかり化(ば)かされてしまった。

爺さまは「ねらばっかしゃ」とつぶやきながら、お猪口(ちょこ)の酒をぐいと飲みほした。そして、明日も来るかなと、ふっと思った。