【前回の記事を読む】「お小遣い」のために、枯れ葉を集めていたが、木から落ちてしまった……谷に落ちると命の保証はなく…。

第四話 杉(すぎ)っ葉(ぱ)拾い

ケンは悟る

ところがここに大きな問題があった。山林の持ち主や学校林の管理人の爺(じ)さまが時々山を見回りに来るのである。そして、時にはすぐには帰らず、ずっと見張っていることもあった。ケン達はこれには閉口した。予定が未定になってしまうからである。

杉っ葉拾いといえども、実際は杉の木に登って、赤くなった枯れ枝や枯れ葉を叩き落とすのである。そうした所を目掛けて彼らはやってくるのである。中には木の下にどっかりと腰を据え、煙草を吸って待ち構えている意地悪な(?)爺さまもいた。

これでは木から下りるに下りられない。はじめは爺さまが帰るまで木の上でじーっと辛抱していたが、それでは何時になったら山から下りられるか見当もつかない。ケン達にとっては厳しく辛い時間であった。

そこでケンは枝から技へと立ち木3本くらいを枝渡りをし、別の木からそっと下りて逃げたこともあった。しかし10mも上のこと。足がすくみ、まさに猿もどきの命懸けの枝渡りであった。しかも、うす暗くなるとさらに危険が増した。

そこでケン達は一計を案じた。枝と枝、幹と幹の間に頑丈な綱を張り、その綱を伝って木々を渡り歩く。つまり「渡し」をつくったのである。しかも下から見えないところに繋いだ。これをいくつかつくっておくと何年かは使えた。

こうして逃げる策はできたが、その代わり、せっかく所々に溜めておいた杉っ葉はごっそりと山の持ち主や管理人の爺さまに持っていかれた。涙を飲んで諦めるしかなかった。

とはいえ、そうたびたびでは、たまったもんではない。ケン達には生活がかかっているのだ。そして麓で彼らに期待して待ち構えている母ちゃん方にも義理がたたない。そこで、彼らは窮余の一策を考えた。

次の年の夏休みにケン達は「杉っ葉拾いに来てるのは俺たちだーて」と、森永キャラメルと刻み煙草を持って学校林の管理人の爺さまに謝りに行った。