【前回の記事を読む】小学校入学時に読めた文字は「の」だけだった。その理由は、新聞に掲載されていた文字が……
第六話 すれ違う思い
いくつまで数えられる?
ある日のこと。ストーブを囲んで先生と幾人かの子供が楽しく話をしていた。
先生が何気なく「あんたち、いくつまで数えられる?」と聞くと、ある子は「100!」と答える。
「凄いね」と先生がそれに応じた。またある子は「1000!」と言う。
「それもまた凄い! で、ケンちゃんは?」。
ケンは困った。100といえば200もあり……ずっと考えると999までいく。そして1000と答えれば今度は9999までいく。
またずーっと考えているうちにケンの頭は大混乱。
しかたがないので「わかりません……」と答えた。
先生は困ったような顔をし、周りも“しらー”とした、気まずい空気となってしまった。
結局、ケンは「数を数えられない子」になってしまった。
先生もきっとそう思ったに違いない。ケンは悲しくなった。無限に続く数を「いくつまで?」と聞かれたらどう答えたらいい?
以来、ケンにとって頭を悩ます大きな問題となった。