「いや、今までにも予知能力者は確かに存在した。だが彼らは自分の秘密を必死に守ってきたのだ。もし自分の能力が周囲にバレたらすぐに悪魔や化け物扱いされてしまう。
それに黙っていた方が本人にとっても得なのだ。彼らのほとんどはギャンブルや株の売買で富豪になった者が多い。だが予知能力があるとなるとそれはイカサマ扱いされてその世界から排除されてしまうだろう。
だから彼らは程よくわざと外すことを覚えた。それならただ運がいいだけと思われて怪しまれなくて済むからな」
「そんな人たちがほんとにいたかどうか証明しようがないじゃないですか。それに科学的に考えても未来の情報が過去に伝わるなどありえません」
「前にも言ったが、おまえが科学の何を知っているというのだ。
全ての科学法則において、時間が過去から未来にだけ進むと証明できたものはない。時間が過去から未来にしか進まないというのは人間の錯覚に過ぎないのだ。
現に、アメリカの大学では高出力レーザーを用い、疑似ブラックホールを形成し、素粒子を過去に転送する素粒子タイムマシンの実験が始まっている。
つまり素粒子は未来から過去に向けて情報を伝えられる可能性があるのだ。私が未来を予知する原理が何なのかまでは分からないが、おそらくは未来から飛んでくる素粒子を脳細胞で感知し、再構成することによって未来視しているのではないかと考えている」
「はいはい、そうですか。どうせ頭の悪い私にはそんな難しい理論は分かりませんよ。ただ本当に予知が当たらない限り、信じる気にはなりませんね」
麻利衣は眼鏡を外すと布団の中に潜り込んでしまった。
次回更新は2月3日(火)、21時の予定です。
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