【前回の記事を読む】「いい顔をしてたのは家政婦の時まで」…母が亡くなり、後妻に入ったのは家政婦の女だった。結婚後、女は人が変わったように…
サイコ2――死の予言者
「君も予知能力者なの? 面白いね。何か予知してみせてくれないか?」
崇夫が屈託のない笑顔で言った。
「お断りします」
賽子がきっぱりと言うと、当てが外れた崇夫は急に憮然とした顔になった。
「いやにけちけちするんだね」
「賽子さんは超能力を使うときは必ず高額な報酬を請求されるんです」
千晶が場を取り持つように言うと、崇夫の表情が緩んだ。
「そうか。お金ならいくらでも払うよ。私は余命幾許もないんだし、予知能力とかそういう不思議なことが大好きだから、ぜひ死ぬまでに見ておきたいんだ」
しかし賽子は冷然とした態度を崩さなかった。
「確かに私が能力を使う時は報酬をいただきます。しかし今、私が言いたいことはそういうことではありません。
未来を予知するということは知らない方がよいことを知ることになる危険性も有しています。そのために激しく苦悩することになりかねない。そのことをあなたに忠告しておきたいのです」
崇夫は真剣な顔で賽子の言葉を聞いていたがこう返した。
「なるほど。未来のことなど知らぬが仏というわけか。確かにそう言う考えもある。
でもね、私はそうは思わない。
私に未来を見通す力があれば、このグループももっと大きくできたと思う。ビジネスには先を見通す力が必要なんだ。それにたとえ知ってしまった未来が不幸だったとしても、それを回避するよう努力することができるはずだ。
そうすれば不幸な未来も幸福に変えることができる。未来というのは決して一つに決まっているのではないはずだ。そう思わんかね」
賽子は一度静かに瞼を閉じてから答えた。
「そこまで覚悟がおありなら未来を予知してお見せしましょう」
「ちょっと待ってください」
華怜が口を挟んだ。
「旦那様、いやしくも私は旦那様の専属占い師です。こんなどこの馬の骨とも知れないような素人女の言葉を真に受けて未来を予知させるなど、私のプライドが許しません。私の予知は絶対に外れません。予知のことは私にお任せください」
「これは失礼した。そうだったね。それじゃ、次はひとみの将来について占ってもらおうか」
「承知しました」
勝手に指名され戸惑っているひとみをそっちのけで、華怜はカードをめくった。
「太陽、正位置。苦しみの暗雲は取り払われ、希望と幸福の光が差し込みます。あなたは生涯人に愛され、何不自由ない生活を送られるでしょう」
「ふん、そりゃあそれだけ遺産を貰えば贅沢な生活が遅れるに決まってるじゃない。インチキ占い師が」
そっぽを向いたままの貴子が毒づいた。それを気にも留めず、崇夫が笑顔で言った。