俳句・短歌 詩 短編集 ことば 2026.02.01 彼女の見え透いた嘘を信じたくなかった。それが彼女と過ごす最後の朝になるなんて…… 「春月」 淡い光がフロントグラスを照らす 張りつめた心を やさしく包み込むように そっと 雲の切れ間から顔を覗かせて 「大丈夫」と それは 投げ掛けているみたいに
小説 『超能力探偵 河原賽子』 【第41回】 春山 大樹 私に会いに上京したはずの母。しかし、位置情報が示したのは板橋区の民家…そこは末期患者のための治療院だった。 【前回の記事を読む】「母は相当ひどい状態」と聞き、久しぶりに上京した母に「健康だよね?」と聞いた。すると、しばしの沈黙をはさみ…翌日、麻利衣は事務所のソファで足を組んでコーヒーを啜っていた賽子の前に右手の握り拳を固めていきなり立ちはだかった。「何だ、そのしかめ面は。腹でも痛いのか」麻利衣が拳を賽子に向けて突き出し、手首を回して掌を開くとそこには1個のサイコロが握られていた。「やはり私はあなたの超…
小説 『朧月』 【第5回】 橋川 彰人 仕事中に妻からの1本の電話…スマホは激しく振動し続けた——「先に伝えておかなきゃいけないの。茜が…大学で……」 【前回の記事を読む】人生100年時代が浸透してきた昨今、日本にはエネルギッシュな高齢者が増えた。彼らを見て若い世代が考えていることとは……拓也は朝一番の時限タスクをこなすためにオフィスへは毎朝七時三十分前後に着く。誰もいないオフィスは空気が澄んでいて自分の動作によって生じる音以外に余計な音がない。心地よく平穏な時間が流れる。自分一人の空間にどっぷりと浸かることができる。このままオフィスには誰も現…