俳句・短歌 詩 短編集 ことば 2026.02.01 彼女の見え透いた嘘を信じたくなかった。それが彼女と過ごす最後の朝になるなんて…… 「春月」 淡い光がフロントグラスを照らす 張りつめた心を やさしく包み込むように そっと 雲の切れ間から顔を覗かせて 「大丈夫」と それは 投げ掛けているみたいに
小説 『あした会社がなくなっても』 【第9回】 桐生 稔 左遷されたその日に1本の電話——「本部長からです。」その内容は、怒りで受話器を壊しそうになるような… 【前回の記事を読む】入社して2か月で、静岡・富士支店へ左遷。本社に呼び出された理由は――職場の人間関係を壊したことだった。(こんなに近くで富士山を見たのは、人生で初めてだ……)桐谷は富士駅に降り立ち、目の前にそびえる富士山を見て、思わず息を呑んだ。その大きさは想像をはるかに超えている。遠くから見る存在だったはずの富士山が、まるで目の前に突きつけられたように、圧倒的な存在感で立ちはだかっていた。(…
小説 『春のピエタ[人気連載ピックアップ]』 【第7回】 村田 歩 刑務所で、お袋と13年ぶりに対面…こんなに小さな女だったか? 生活が苦しく、いつも歯を食いしばっていたお袋は… 【前回の記事を読む】母が犯罪に手を染めた理由は、親父にもある。何度もSOSを出してきたのに、無視され続け、ノイローゼになり……俺たちは婆さんより早く呼ばれた。刑務官に案内されているとき、初めて親父が落ち着かない様子を見せた。首から下は先を行く刑務官に素直に従っているのに、首から上はまるで道を見失ったかのようにあたりをきょろきょろ見回している。勝手が違う、といった顔だ。俺は急に不安になった。悪い想…