うす陽さし人はまばらに行きかよふ
風花の舞ふ稚内駅なり
*風花 晴れた空から粉雪が舞うさま。
冬の海避けてひしめく海豹の
抜海港に舫ふ船なし
*舫ふ つなぎとめている。
鼻先の髭すりよせてのびあがる
雌雄の海豹にさいはひありき
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
うす陽さし人はまばらに行きかよふ
風花の舞ふ稚内駅なり
*風花 晴れた空から粉雪が舞うさま。
冬の海避けてひしめく海豹の
抜海港に舫ふ船なし
*舫ふ つなぎとめている。
鼻先の髭すりよせてのびあがる
雌雄の海豹にさいはひありき