「お前の申すことは、恐らくまことであろう。従者によれば生前の姫君は、乙女ながらも際立って見目麗しく、気高いみ心の持ち主だったという。もしもお前がより間近に姫の実在を感じたのであれば、それはそれだけお前たちが深く心を通わせ合ったからでもあろう。

しかしたとえいかにそのような方であったとしても、またお前たちの交わした心の契りがいかにかけがえのないものであったとしても、姫はもはやこの世に魂ばかりを残しながら、人の姿を失っておられる」

宗佐にとって拓善の語りは、あまりにも衝撃的で残酷で受け入れ難いものでしたが、しかし彼が偽りを語る人物でないことは、宗佐が普段から知り尽くしているところです。

また彼によって伝えられた沙代里姫のはかなくも哀れな生涯は、宗佐との逢引きの間、姫がなぜあれほど悲しみ、嘆いていたか、その理由を説き明かすものでもありました。

あまりにもむごく痛ましい最期を遂げなければならなかった沙代里姫の悲運を思うと、宗佐の胸は文字通りえぐり裂かれるようで、彼は思わず呻き声をあげながら両手で頭を抱えてしまいました。

 

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