【前回の記事を読む】彼が知った残酷な真実――男が毎夜愛していたのは、すでにむごく、痛ましく散っていた姫君だった…

指切り宗佐 愛恋譚

六 慟哭

「和尚様は、私にどうせよとおっしゃるのですか?」うなだれ、深く打ちひしがれた様子で宗佐が尋ねました。

「つらいことかも知れぬが、お前は姫の魂との繋がりを断ち切らねばならぬ」

「何ゆえ……何ゆえでございますか?」宗佐は哀訴するように尋ねました。

「なぜなら、お前との交わりをどれだけ深めて行ったところで、姫の魂が救われることはないからであり、それにまたお前の命は今、危殆に瀕しているからじゃ」

「危殆とは……?」

「姫と心を通い合わせはしたかも知れぬが、体の契りまでは、結ばなかったであろう?」

「……抱き合うたばかりでした」宗佐は思わず顔を赤らめながら答えました。

「うむ。もしも姫の亡霊と体を契っていたなら、その魂はお前の口から滑り入り、内側からお前の魂をむさぼり食らっていたことだろう。そしてお前は今頃屍となって、あの墓の前に横たわっていたであろう」

「姫様がわたくしを殺そうとたばかっていると、おっしゃるのですか?」普段の彼には似つかわしくもない、挑みかかるような口調で宗佐が尋ねました。

「そう言うわけではない。姫はお前をたばかっているわけでも、心をもてあそんでいるわけでもない。むしろ生前叶わなかったまことの愛にめぐり逢えた喜びの中で、ひたむきにお前の存在を求め、恋い慕っているばかりであろう。

しかし体の契りを交わすは、うつせみの身の間でのみ許されること。死霊と体を契る者は、魂を食われ、命を奪われるのが定めなのだ」

拓善は厳粛な面持ちで答えました。