【前回の記事を読む】「亡霊と契れば魂を食われて死ぬ」魂を食らった亡霊は次の魂を求め彷徨ううちに怨霊へ……
指切り宗佐 愛恋譚
六 慟哭
「この世の姿を失った今、姫の魂は現世への執着から脱却し、天へと成仏されることでしか救われることができぬ。それが、今我らが姫様に望みうる唯一の幸いの道じゃ」
拓善が沈痛な表情で言いました。
諄々と道理を説く師匠の言葉に、もはや宗佐は言葉を返すことができませんでした。
宗佐が畳に頭を擦りつけて拓善に願ったのは、しばらくの沈黙の後でした。
「私の一身はいかになろうともかまいませぬので、どうか姫様の魂が安らかに成仏なされますよう、お導きのほど、よろしくお願いいたします」
「その言葉に、間違いはないな?」
「はい」
答える宗佐の拳は固く握り締められ、肩はわなわなと震え、その膝の上には数え切れない涙の雫が滴っていました。