「血迷うでない、宗佐」拓善は姫への愛に焦がれるあまり、すっかり平常の心を失っている宗佐を、厳しい口調で叱り付けました。

「お前はおのが欲を遂げさえするならば、姫の魂はどうなろうともかまわぬと言うのか?

たとえお前が姫のために命を差し出したところで、その魂が救われることはないのだ。その魂は空しくこの世を彷徨い続けるだけなのだ。それどころか、お前の魂を食ろうた後、姫の霊はますます深く現世への執着にはまり込み、再び別の魂を求めてこの世を彷徨い続けることだろう。

人の魂を食らう毎にその魂は怪しさと邪悪さを加え、やがては本物の怨霊となってこの世に祟りをなし続けてゆくことであろう。……姫の魂がそのような化物になり果てても構わぬと、お前は思うのか? それが姫の幸いであるとでも、お前は思うのか?」

「一体いかにすれば、姫様の魂は救われることができるのですか? いかにすれば姫様は、本当の幸いの境地に至られるのですか?」祈るように、宗佐が尋ねました。

 

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