各地における最近の(2017年)疫学調査によれば、日本の患者数は全国で約1万9千人、世界では約230万人といわれています。日本では北海道、欧米では高緯度地方に多く発生しているそうです。

なぜかいずれも酪農の盛んな地域であることが、注目すべき点ですが、多発性硬化症は比較的若い女性に発症例が多いといわれます。

妻は間もなく60歳というときでしたので、年齢的にはかなり遅い発症でした。医師の方々は原因不明で寛解と再発を繰り返し、再発のたびに増悪し、間もなく車椅子が必要になり、その後寝たきりになって一生完治しないと言われました。

処置といえば多数の薬を処方され、その他に病状を極力抑える目的で1日おきにインターフェロンの自己注射をするよう指示をされるくらいです。

定期健診で病院に行きますと主治医の先生は、間もなく良い薬が開発されるからもう少し頑張りましょうと希望を持たせてくださいました。しかし、現実には薬の副作用と思われる症状が次々に発現し、複数の医師が言われる通り増悪の一途を辿っているように思われました。

それまで妻は元気で活動的に生活しておりましたのでまさに青天の霹靂、本人はもとより私も頭の中が真っ白になり、奈落の底に突き落とされた思いでした。

発症から3〜4年後、セカンドオピニオンを求めて多発性硬化症の分野では最高権威のお一人といわれています医師の診断をお願いすべく、小平市にあります国立の専門病院を訪れました。

妻は診察を待つ間も長時間椅子に腰かけていることができず、ベンチに横になってしまうありさまでした。