【前回の記事を読む】夜の排尿回数を1.5回以内に抑えることを目標に…医師が教える“夜間頻尿”改善策とは?
第1章 対策するための第一歩! まずは夜間頻尿の実態を知ろう
2.通院患者の夜間頻尿統計からわかること
▼当院における2019年7月の男性LUTS(下部尿路症状)治療症例の夜間排尿回数と年齢分布、そして現状
まず、少し古いデータではありますが、当院における男性LUTS治療症例の夜間排尿回数と年齢分布に関する実際をご紹介します(図③)。
この調査では、2019年7月における男性LUTS治療症例464例を対象に、夜間排尿回数を0回から0・5回刻みで4回までの頻度で厳密な聞き取り調査で判定しました。例えば、「1・5回」とは「1回と2回が半々の割合」であることを意味します。
この調査により、患者の年齢構成と治療(薬+生活指導)に対する抵抗性が年代別にどのように推移しているかを把握することができました。
写真を拡大 図③.当院2019年7月の男性LUTS治療症例の夜間排尿回数と年齢分布
〈年齢層ごとの特徴〉
この時の調査対象の患者の多くは70代(49%)および80代(29%)が占めており、50代および60代の患者は比較的少ない傾向にありました。50代、60代の患者は、症状が軽度で改善が早く、不定期通院や経過観察が多いことが理由と考えられます。
また、85歳以上の患者では、通院時に付き添いが必要なケースや、長期処方を希望される方がやや多いこともあり、通院患者数は相対的に少なくなっています。
〈治療抵抗性と夜間排尿回数のコントロール状況〉
調査結果から、1回以内の夜間排尿回数でコントロールされている高齢者が多いことが確認されました。特に80歳未満の患者では、ほとんどが1・5回以内に収まっており、80代でも半数の患者が1回以内に抑えられています。