某局放テレビの開局30年記念特番として、同局の看板番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』の弟番組という位置付けで、1983年に第1回目の『ウルトラスペシャル全国高等学校クイズ選手権』が開催されたのだ。3人1組でエントリーし、会場は当時の西武球場だった。万人規模の高校生が集まったと記憶している。

なぜそんなに気合いを入れるに至ったのか? それはもちろん、クイズにチャレンジしたかったから……、という理由では、けっしてない。"ナンパ"というとちょっと、いや、だいぶ言い過ぎだが(そんな度胸はない)、他校の女子との交流を期待したからだ。

第1回に参加した僕らは、偶然にも、茨城県から参加した1組の女子グループと知り合った。ああいう大会ではなんとなくの連帯感が生まれる。共通の目標があるからクイズの解答を求めて話しかけやすい。

僕らのような内気なグループでもなんとかなった(ナリが普通だったので、もしかしたらだけど、クイズに答えられる程度に賢く見られたのかもしれない)。多少の関係を築くことができれば、あえなく敗戦しても、帰宅途中「せっかく出会ったので、ちょっと食事でも」ということになる。

そんな経緯で僕らは、この後、高校生活の3年間にわたって続く"遠距離グループ交際"がはじまったのだ。次回の大会への約束を交わし、船橋駅で別れる。そして、当日に再会する。

5回までは年に2回開催されていたので、その間隔で会うことができた。多少メンバーが入れ替わったので、最終的には8、9人くらいのグループ交際へと発展した。知り合った女の子たちは、みな控え目でおとなしく、ピュアだった。

「あんまり、他の男子とは遊んだりしないよ」という言葉が、いつまでも記憶に残っている。電話をかけたり、年賀状の交換をしたり、皆で大型アミューズメントパークにも行った。抜け駆けをして、個人的に会ったヤツがいたので、どういうつもりかを問いただしたこともあった。

ただ僕自身は、別に何をしたわけではなく、何かを残したというものもなかった。クイズに参加していただけで、結局そのなかから特定の彼女を作れることもなく、ここでも僕はその他大勢だった。

 

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