三爪チャックで石器を掴む

先史時代の人類の進化を測る尺度として取りあげられているのが石器である。石は人類の進化になくてはならない材料である。人間の親指が太く長く、他の四本の指と向かい合う対立運動ができたため、石をしっかり握ることができた。

図2‐2に示すような三爪チャックと呼ばれる親指・人差し指・中指を使った握り方で不規則な形をした石を確実に握ることができた。

しっかり握った石を力強く振り下ろして、骨を砕き、食料を手に入れることができた。また、しっかり握った石を正確に振り下ろして、道具にしたい石を砕き、望みの形の石器を製作することができた。

「ホモ・ファーベル」が文化を作り出した

脳の中で、思考を担当する前頭葉の部分が発達することで、三次元空間認識能力と順序だてて行動する能力、加えて、手の三次元の動きが結び付き、道具を使うことはもちろん、道具を作ることができるようになった。

最初は、原石の片面を砕いて鋭い破面を持った片面加工石器から始まり、両面を砕いた両面加工石器も製作できるようになった。

 

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