【前回記事を読む】周りの人たちは大丈夫そうなのに、なぜ私だけ? ピサの斜塔で謎のめまい。頂上に着いた途端に消えた理由とは

3 世界遺産の斜塔に登る ─ ピサ ─

再び訪れたピサの斜塔

昔来た時と比べ物にならないほどの混みようです。世界中から人が押し寄せているのが、あちこちから聞こえる異なった言語で交わし合う言葉で分かります。 

塔の内部に入るのにも並ばなくてはならず、登る人数も昔と比べて、激増していました。不思議なことに今回は、前回のようなめまいは全くなく、傾斜が緩和されたのかと錯覚するほど。とにかく頂上からの眺めは絶景です。夜、ここから見上げる空はどんなものか。宇宙空間で眺めるプラネタリウムのようなのでは……。

人が高みを目指すのは、本能なのかもしれません。斜塔の建設は1173年に始まり、工事は延々と続けられました。建設途上で地盤が沈下したにもかかわらず、1372年に完成しました。

以来、六百年以上の時間が過ぎ去ろうとしています。まさに中世の歴史をそのまま身に付けた大理石の建造物は、イタリアの悠久の歴史を私たちに示してくれます。

ピサという街そのものが、ルネッサンス発祥の地として由緒ある場所なのです。15 世紀に創設されたピサ大学にはガリレオ・ガリレイが学び、かつ教鞭をとったことでも有名です。この街には、大聖堂、洗礼堂、納骨堂と、世界遺産が四つもあるのです。