【前回の記事を読む】光差すステンドグラスの下、私は初めて魂の声に耳を澄ませ、世界の色が変わる瞬間を迎えた

第一部

二 神を知る

外は蒸し暑く、かきたくない汗が出てくる。二人だけの空間にこだわっていたが、仕方なく近くのコーヒーショップに入った。

自分の肉体はただの乗り物。大事なのは心で、エゴが肉体を動かすのではなく、心で肉体を使ってと言っている。先ほど、寺田もエゴの話をしていた。

私は咀嚼するまでに時間がかかったが、照史は焦らせることなく待ってくれる。

それから何かに導かれるようにひらめきと共に、目を見開いた。本来の姿は魂だから、伯父も肉体から魂が抜けても生きている。

目には観えない抽象的な、心、愛情、喜びを意識して大切にしなければと、そう理解したと言うと、照史は何回も頷いて、やっぱり君はすごいと褒めてくれる。

しかし実はまだ腹落ちできてはいない。照史は話を続けそのエゴは色々とやる事に、ストップをかけて語りかけてくる。

君には無理だ、それでは常識外れで無責任だとか。過去や未来の不安を引っ張り出し、心から発せられた思いを、妨害するようなイメージだと言った。私は意識してもその後、すぐにできない理由を思考していた気がする。

そんな時はどうするのだろう? 照史は、よくお祈りする習慣があるから、不安な時、その声が邪魔な時、神に祈り自分の間違いを訂正してもらうと話した。

私は特に信仰がない人でも疲れた時、迷う時、神社やお寺に行くことを思い出した。祈りたい、心の奥底では愛や神を覚えているから。

そして感謝をする。そうすると案外、自分はすでに幸福を持っていることに気づかされる。照史はどんな時も、真剣に答えてくれた。彼の表情を見ていてそれがわかる。