その後、いくつか異動を繰り返す中で、海外勤務について考えさせられることがありました。上司から、「どうして海外勤務をしたいの?」と聞かれたのです。素朴な質問ですが、核心を突いています。

私は自分自身の留学経験を踏まえ、海外勤務をすることで銀行の発展に尽くせることを滔々と説明しました。話を聞き終わったあと、上司はふーんって感じで、「それじゃダメだな」というのです。

海外勤務をしたい理由に正解なんてあると思いますか? その人の「想い」ですので、正解なんてないはずです。

おそらく、海外勤務をさせる人材は最初から決まっています。本人の意思に関係なく。私はその選にいないのでしょう。理由は全くわかりませんが。この頃、二人目の子供を授かり妻は仕事と育児で大わらわでした。

「もう海外勤務希望するのやめない? 十年経っても全然海外行けそうな気がしないし、絶対銀行から見込まれていないよ。私も自分のキャリアを大切にしたいし」

なんて相談されて、「そうだよなー。もういいっかー、いつまでも自分の我儘言ってられないな」と諦め始めました。海外勤務に近づいている気がしないし、仮に実現しても妻に迷惑がかかるだけでした。

共働きで子育てが始まると、海外勤務のハードルが一気に上がります。したくても、できないわけです。

共働きで育児が必要な時期は大体三十代から四十前半辺りと思いますが、海外勤務ができるのは専業主婦(夫)を持つ家庭か、独身に限られて来ると思います。

海外勤務とパートナーのキャリアを、子育てをしながら両立させている家庭があるのなら、本当に聞いてみたいです。どうやったら実現できるのでしょうか。

次回更新は10月12日(日)、8時の予定です。

 

👉『これでいいのかサラリーマン』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】まさか実の娘を手籠めにするとは…天地がひっくり返るほど驚き足腰が立たなくなってその場にへたり込み…

【注目記事】銀行員の夫は給料50万円だったが、生活費はいつも8万円しかくれなかった。子供が二人産まれても、その額は変わらず。