【前回の記事を読む】ガスや便が気になる大腸検査だが...においも汚れもこれで克服・新しい大腸検査用ハーフパンツ。大腸検査はもう恥ずかしくない。
1章 大腸カメラ革命、恥じらい・つらさ・ためらいとはもうおさらば!
1‐2 大腸カメラは新たなステージへ、足台付き内視鏡ストレッチャー
ですが、仰向けになると、患者さんの両下腿が検査医の内視鏡操作の妨げになり、患者さんに足組みしてもらい、まとめた下腿を介助者に支えてもらう必要が出てきます。
大腸カメラの挿入を助けるために、患者さんの腹部を介助者が用手圧迫することもあります。
用手圧迫とは文字のごとく介助者が患者さんの上に体重をかけて両手でお腹を押さえつけるもので、かなり苦しみを伴います。痛がる患者さんのお腹をさらに上から押さえ込むのは、介助者にとってもやりたくはない手技です。
また、患者さんの中には大腸が伸びやすく、大腸カメラの挿入に難渋する方がいます。また、女性や手術後の患者さんに多い骨盤内で他の腸や臓器と大腸がくっついている癒着部分がある方は、挿入時に痛みを伴うことがあります。
これはそのときの諸状況により異なりますので、全く痛みのない人と痛い人とを事前に見分けることは困難なことがしばしばあります。熟練した内視鏡医でも痛みを全く与えることなく大腸カメラを行えるかというと、それは難しいのです。
そこで検査を楽に受けてもらうために鎮静剤を使うことがありますが、そうすると患者さんが脱力してしまうため、その下腿を保持する介助者が付きっきりでないと、仰向けでの患者さんの足組み姿勢を保持できません。場合によっては患者さんの足を抑制することになってしまいます。これは安全のための医療行為だといっても、事前の同意がなければ人権問題となり得ます。
足台付き内視鏡ストレッチャーを用いると、仰向けのときに大腸カメラ中の患者さんの両下腿を足台が下から優しく保持できるため、仰向けや側臥位への体位変換と姿勢保持が容易にできるようになります。
患者さんの下腿保持のための抑制行為や、腹部の緊張も取れるため、用手圧迫を行う必要がなくなりました。
また、内視鏡ベッドでは、鎮静剤を使用して検査した後の患者さんを両脇から2人がかりで支えて回復室へ移動させていたので、転倒のリスクがありました。〈図5〉

それがストレッチャーになったことで、鎮静剤を使用して内視鏡検査を行った後に患者さんをそのまま回復室まで安全に移送することができるようになり、転倒のリスクがなくなりました。