以前「すみません。ありがとうございます」と言っているもの静かなおばあちゃんがいた。必ずありがとうございますの前にすみませんが付いていた。私もそのおばあちゃんと全く同じ思いなのだ。
先のことは私自身にもわからないので、しっかりと伝えることのできるこの今の時に「とりあえず」書き残したのである。
ホーム小話4 美人薄命
コウリャンばあちゃんは夕食後の挨拶に決まって「おやすみなさい、また明日ね」と言う。
老人ホームといっても通常は「老人」を省いてホームと言っている。間違いなくホーム一若い私は「明日の朝はとてもお会いできないかもしれないわ。だって美人薄命って言うでしょ」と返す。
するとコウリャンばあちゃん「じゃあ、私は?」「もうじき百歳というんですもの。とても薄命とは言えないわ」「じゃあ、不細工ってこと?」「結論としてそう言うしかないわ」というのが「おやすみなさい」の常套句となった。
ところがである。ある時突如、コウリャンばあちゃんが反撃してきたのだ。
「あなた、そんなに美人かしら?」 長くやっつけられていると人間、老人といえどもへこんでばかりはいられないのだ。
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