俳句・短歌 歴史・地理 歌集 日本列島 2020.09.10 歌集「秋津島逍遥」より三首 歌集 秋津島逍遥 【第17回】 松下 正樹 “忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す” ――日本の面白さに旅装を解く暇もない 最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。 尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 夕闇にしまふくろうの現はれて 池のほとりに眼を凝らす 暗視カメラにおほしき姿映りをり するどき眼嘴は曲りし 樹の洞に雛の待つゆゑ夕闇に 山女を狙ひ人を恐れず *山女 サクラマスの陸封型。
小説 『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰 【カフカの名作を大阪弁で!?】「グレゴール!まだ家におったんかいな。 どないしてん?」名前を呼ばれて答える自分の声にギョッ!? それに列車に追いついたところで社長の大目玉は避けられん。なんせ使用人が五時の列車に合わせて待っとってグレゴールの遅刻をとうにチクっとるわけやから。こいつは社長のお気に入りやった、性根も頭もないくせに。それか、病気や言うたらどないか? いやいやこれほどカッコ悪うて怪しい言いわけもなかろう、グレゴールは五年勤める間病気になったためしがない。社長が健康保険組合の医者を連れて来て、両親をグータラ息子のこ…
小説 『カスバの女』 【第4回】 竹中 水前 薄紫のドレスを試着しようと試着室に入ると突然正面の姿見が開き赤鬼のような顔をした男が… パリには旅行で一度来たことがある。その時は只々驚いただけだったが、住んでみると、大都会ではあるが東京とは全く違った。そもそも住んでいる人種が多岐にわたる。服装もまちまちだ。どんな格好をしていても恥ずかしく感じることはない。ダイバーシティの見本のように感じた。生活のために少しでも収入を得なければならないが、観光ビザでの入国だしフランス語が出来るわけでもない。日本人向け新聞の求人欄で見つけた日本人経…