理子と同じ部署の先輩たちは、ほとんど理子を女性だという扱いをしない。それは理子自身がそうしてもらうように動いてきたからだ。
それからしばらくは各自今やっている仕事について話し、やっと理子もみんなの性格と名前を掴んできた。
(大森君は営業、川谷君はエンジニアでしょ、桃川ちゃんが秘書室で……)
「おい、岡っち。飲もうぜ、まだイケるっしょ?」
「えっ……まぁ~飲めるっちゃ飲めるけど……」
「おいおい、ノリ悪いな~」
「岡っち、酒強そうな顔してるけど。焼酎とか飲んでそう」
「あはは、それよく先輩にも言われるんだよねー! 焼酎顔してる? 私」
「焼酎顔ってなんだよ」
ノリが悪いと言われるのが一番怖い。理子は慌てて自分のテンションを上げ、男性陣の話にのる。
「はーい、ちょっとまとめるよ。おかわりいる人~?」
「俺ビールもう1杯」
「俺も。桃川ちゃんはどうする?」
「あ、私はもう烏龍茶でいいかな」
「オッケー。で、俺はウーロンハイ、岡っちは芋焼酎と」
「芋焼酎!?」
「はい、注文しました~」
「大丈夫、大丈夫。酔っ払ったって誰も襲ったりしないから」
「それ桃川ちゃんだったら丁寧に介抱するやつだろ」
「アタリ」
「私も男だったらそうするわ。桃川ちゃん可愛いもん」
男子がかわすこういう会話にも慣れた。
次回更新は9月4日(木)、11時の予定です。
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