四
珠輝の心の叫びはリッキーには届かなかった。両手は寺坂に捕まえられ、自由を奪われてしまった。
「何をするのですか。止めてください」
珠輝はあらん限りの声を張り上げた。
「ようく小さな体でそんな大きな声が出るなあ。いいこと教えてやろうか。ここは会社の倉庫の一部で、俺の休憩室さ。だからどんなに大声を張り上げたって誰も来やしない。へ、へっへっへ」
「ここはアパートでしょ」
「いや、誰も来ない倉庫だ。おめえを安心させるために俺の部屋と言ったがな。へっへっへへっ」
寺坂は再び珠輝の耳元で不気味な笑い声を立てた。これがなおさら不安感を募らせる。それでも声は張り上げ続けた。瞬間、太く硬い物が珠輝の手に触れた。叫びは一瞬止まった。
「太い。男の生殖器とはこんなに太いのだろうか」
学校の模型には男性生殖器も女性生殖器も皆無だった。ポルノ雑誌を見ることもできない珠輝があっけに取られるのも無理ないことだ。だが、珠輝の一瞬の気の緩みがいけなかった。調子に乗った寺坂は、珠輝の手を移動させると、
「ここんところが男が一番……」
珠輝も負けてはいなかった。たった一つ口が使えることに気づいた彼女は、反撃に移った。寺坂の右腕にがぶりと噛(か)みつくと、大きく噛むと痛みが少ないから、噛みながら肉を減らしていき、衣類にも穴を開けようと努力した。
「い、いてえ、止めろ」
だが、噛み続け、衣類に穴を開けることができた。その時、