2 送られてきた小包
五月の連休があけて、再び子どもたちが登校してきた。子どもたちは、連休中に気持ちの整理をつけたのか、クラスの中に活気がもどった。
放課後、修司は子どもたちの元気なようすにほっとしながら、翌日の授業の準備にとりかかった。そのとき、理科準備室のドアがノックされた。
事務の石川直子(いしかわなおこ)が、ドアを開けて入ってきた。直子はかかえていたうす緑色の封筒(ふうとう)と一冊のファイルを、修司の机の上に置いた。
「青山先生から小包が届けられました。学校あてに送られてきたので、開けてしまいましたが、藤山先生あてのようです」
修司は驚(おどろ)いた。しかし、表情には出さず、お礼を言った。
直子が去ると、修司はうす緑色の封筒(ふうとう)を開け、折りたたまれている手紙を開いた。のびのびとした濃(こ)い黒い字で書かれていた。
「初めまして、青山みどりです。いや、初めてではありませんね、ひょうたん池公園でお会いしましたね。
私は太古(たいこ)の昔から続いている戦いに、呼びもどされました。六年一組の子どもたちには、申し訳なく思っています。でも、藤山先生が受け持たれるはずですから、心配はしていません。
特に星野波奈(ほしのはな)、坂井文子(さかいふみこ)、西森悟(にしもりさとる)、宮川研一(みやかわけんいち)は、私とともに戦う者たちです。もちろん、本人たちはそのことをまったく知りません。
藤山先生も、私たちとともに戦いに加わります。あの子たちの守護神(しゅごしん)として。いずれお会いしましょう」
やはりあの不思議な光景は、夢じゃなかったのだ。手紙に書かれていることは信じがたい内容であったが。修司は、なぜか素直に受け入れた。
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