【前回の記事を読む】「真由のように素直になれば気持ち良くなれるのに」まるでセクハラ発言のようで、嫌悪感がする。店長の長澤さんの言葉に私は――
不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~
飲み会はいつもの居酒屋で開催され、乾杯の音頭を長澤さんがとった。
「さぁ、今日は飲んで飲んで! 後の事は考えなくて良いからね~!」
「後は正幸さんに任せま~す!」
真由がまずジョッキを一気飲みした。
「ちょっと、真由。一気飲みは体に良くないよ?」
「大丈夫。な~んにも心配は要らないからさ、亜紀も飲みなよ」
私は少しずつビールを口に運び、おつまみをパクパクと食べていった。
「真由ちゃん、彼氏とは上手くいってる?」
突然長澤さんが彼氏の話題を出してきて、少しむせてしまった。今はその話題に触れたくないのが本音だ。
「上手くいってますよ」
「そうかなぁ? 顔が違うって言ってるけど」
「そ、そんな事ありません……!」
ジョッキをドンッとテーブルに置き、ムキになってしまった。それだけ私の中で連絡をしてこない俊雄さんが不安材料となり、ストレスにもなっているのだと実感してしまう。
「彼氏が浮気したとか?」
真由が楽しそうに訊いてきた。悪気はないんだろうけど、直球でそういう事を言われると、不安が増殖する。
「私の彼が真面目だって事、真由は知ってるでしょ? 浮気なんてないよ」
「いやいや、亜紀さん。男ってのは分からないものなんですよ~?」
不倫している真由には言われたくない、そう思う。でもそう言っても面倒だから、敢えて口にしない。