【前回の記事を読む】店の一周年を祝って開かれた飲み会のはずが不倫関係にある長澤さんと真由の親密ぶりを見せつけられる場に
不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~
一方の私は帰宅し、シャワーから上がったところで、スマホにLINEがきている事に気付く。俊雄さんからの連絡かと期待して慌てて画面を開いた。
『ごめん、連絡が遅くなって。実は今、社長の家にいるんだ。お見合いをした土曜日、帰りに送って行ったら、お茶でもって言われて、家にお邪魔したんだけど、社長の話が遅くまで続いて、結局泊まっていきなさい、って言われて。何だかんだと理由を付けられて、滞在させられているんだ。
だから電話もできなくて、今やっと隙をついてメールをしたとこ。断ったよ。でも彼女はやっぱり泣いちゃって。それで』
そこで文章が途切れていた。
「ちょっとちょっと、お見合い相手の家に泊まっているって事? 何で強引にでも帰らないのよ……!」
結局断っても泣かれて、相手に同情してしまったという感じなんだろうけど、じゃあ、私の立場は?という気持ちで一杯だ。優しい俊雄さんは、お見合い相手の事まで思いやってしまうのだという事に心が痛む。
でも、相手の家に泊まるって……そんなお見合いの結末があるだろうか。しかも、彼女である私に連絡をしてくるのが遅過ぎると思う。
「……一体どんなやり取りをしたら、泊まるって……。今夜も泊まるって事? そんなの、信じられない……!」
明日の月曜には仕事が始まるから、それまでには……いや、もしかしたら、月曜にその悠希さんと一緒に出社という事もあり得る。
「何よ、それ」
私は俊雄さんからのLINEに、どう返事をして良いのか分からず、結局返信をせずにそのままベッドに潜り込んだ。目を閉じると、俊雄さんと上品なお嬢様の女性が仲良くしている姿が思い浮かぶ。どれだけ寝ようとしても、その二人の姿が浮かんできては目が覚めてしまい、睡眠と呼べるものは殆どとれなかった。