月曜日の朝をそのまま迎え、ボーっとした頭で朝食を作る。今日はお店が臨時休業をしているけど、いつも通りの早い時間に起きてしまった。

「はぁ。……眠い」

眠いけど眠れないのは辛いものだと昨夜を振り返る。俊雄さんからの連絡はあれ以来ない。でも、私の方から連絡をする気にはならなかった。

「……私って俊雄さんにとって、一体何なんだろう……」

そんな言葉が漏れた。

テレビのつまらないドラマを見ながら気を紛らわせ、お昼の時間になった。買い物にも行っていないので、カップ麺にお湯を注いでタイマーをセットする。三分待ったところでタイマーが鳴り、カップ麺を食べ始めた。

そんな時に、スマホにLINEが届いた。チラリとスマホに視線をやると、俊雄さんからだった。

『今朝、悠希さんと一緒に社長の家を出て会社に来たよ。多分、気分悪くさせているよね。本当にごめん。今日、仕事が終わったら、会えないかな? 説明したい』

説明? 何の説明? 説明なら昨日のLINEで十分だよ。

『悪いけど、今日は忙しいから。』

それだけ打って送信した。今会ったら、きっと文句しか出てこないだろう。文句を言うだけの理由があっても、俊雄さんを傷付けるのは何だか気が引けた。お見合いは社長の命令だという事が、俊雄さんを擁護する唯一の要因だ。

それでも、でも、『でも』なのだ。納得いかないのは泊まった事。これだけはあり得ないと思う。強引に帰る事はできなかったのだろうか。社長の命令に従っただけなのだろうか。断って、強引にでも帰って欲しかった。これは恋人として当然の感情であり、俊雄さんが責められるに値する事だ。

カップ麺を食べ終え、冷たいお茶を飲んだ後、スマホがまた鳴った。今度は電話だ。相手はもちろん俊雄さん。

しばらく鳴って留守電に切り替わると、話を聞いて欲しい、というメッセージが入った。そこでプツンと電話が切れた。

話を聞く? 悠希さんというお嬢様とのお見合いの話? 社長の家……彼女の家に泊まって何をしていたかという話? そんなの聞きたくない……。

いつもなら隠し事のない私達だけど、限度というものがある。私が聞きたいのは、断ったから大丈夫、という言葉だけだ。

次回更新は9月21日(日)、19時の予定です。

 

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