【前回の記事を読む】やっと来た俊雄さんからの連絡。だが非常識で思いもよらない内容に私は混乱した。私の恋人は私のことを……
不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~
夕方になり、少しウトウトしてきたのでベッドに横になる。昨夜眠れなかったので、スーッと眠りに入った。そんな時に、インターホンが鳴った。
「ん……。誰? こんな時間に……」
眠気でいっぱいのけだるい体を無理に起こし、何も考えずにドアを開けてしまった。
「亜紀……!」
ドアの向こうには俊雄さんがいた。そして、ギュッと抱き締められた。
「ごめん……! 怒っているよね? 僕が全部悪い。許して欲しいとは言わない。精一杯償うから」
フワッと甘い香水の香りが俊雄さんからした。俊雄さんは香水とかはつけない。……という事はこの香りは、悠希さんの?と直ぐにピンときた。
「離して……!」
気付くと、ドンッと俊雄さんを突き放していた。
「亜紀……」
「……悠希さんの香りをつけて私に触れないで! お見合いで泊まるなんて異常だよ! 例え社長の命令だったとしても、それを断るのが私への誠意ってものだよ! 怒る怒らないとか以前に、私が恋人として大事にされていないって実感した」
ああ、言ってしまった。
俊雄さんが俯いて、そして土下座をしようとしたので、それは止めた。それで終わりにして欲しくないからだ。
「……距離を置こう? しばらく連絡もしてこないで」
それだけ言って、私はドアを閉めた。
もしかしたら、これで私達は終わりなのかもしれない、という思いを抱きながら。