【前回の記事を読む】ドアを開けるとそこにいたのはお見合いから帰ってきた恋人だった! 彼は私に詫びたが、私は彼を拒絶した。その理由は――
不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~
今度は目を潤ませ、訴え掛けるように言ってきた。好きになるのはどうしようもないのは理解できる。だけど、不倫は良くないのも事実だ。真由は奥様への罪悪感はないのだろうか。
それを訊く勇気は私にはなかった。面倒な事に首を突っ込みたくないからだ。私の悪い癖だと分かっていても、やはり面倒なものは嫌だ。
「実はね、私も彼氏と色々とあって、距離を置く事にしたの。だから、真由も少し距離を置いて、長澤さんの反応を見たら?」
「亜紀が? 真面目な彼氏なんでしょ? 何かあったの?」
「んー、話すと長くなるから、また今度ね。今日は真由の話だから」
「……距離なんて置いたら離れて行っちゃうよ……。彼は去る者追わずだから。それこそ他の女に正幸さんを盗られちゃう。そんなの嫌だよ……!」
「……本当に彼が好きなんだね」
「勿論もちろんそうだよ。じゃなきゃ、今の関係になんてなってないよ」
どうしたものか……。距離を置くというアドバイスを却下されては、私には他にアドバイスをする事は何もない。
「とりあえず、気分転換に付き合って。今度遊びに行こうよ」
真由がお肉を頬張りながら言ってきた。
「それは良いけど、私と二人だけで?」
「ううん。亜紀は彼氏とこじれてるんでしょ? だったら彼氏を誘おうよ。仲直りのきっかけになるかもだよ?」
「……今はそんな気分じゃないな……」
「じゃ、あのお客様……高岡南君を誘おう? 正幸さんがLINEで繋がったって言ってたから、連絡はつくと思うよ。あ、でも正幸さんは今回は不参加にして、代わりに私の友達を一人追加で」
真由が含み笑いをするので、何か企んでる?と思えてしまった。