【前回の記事を読む】男女4人で夜の遊園地へ――気づけば彼氏以外の男性に迫られ、心が揺れる危険な瞬間
不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~
お化け屋敷は暗くはあるけど、そんなに怖くなかった。
「あー、もう! お化け屋敷で亜紀ちゃんとくっ付けると思ったのに~!」
悔しがる南君に、私は掛ける言葉はなかったけど、彼は直ぐに復活し、次は観覧車!とまた私の手を引っ張って走って行く。
観覧車か……。
思えば、俊雄さんとの初めてのデートも遊園地だった。そして、二回目に訪れた時に観覧車でファーストキスをした覚えがある。
「観覧車以外に乗らない?」
「どうして?」
「ちょっと嫌な経験があるから」
彼氏との思い出の場所を大事にしたいので、わざと『嫌な経験』と言った。だけど南君は逆に、じゃあ良い思い出にしようよと張り切る。
しくじった……どうしよう。
「あ、私、ジェットコースターに乗りたいな」
「駄目だよ! まずは観覧車を良い思い出にして、それからコースターに行こうよ!」
グイグイくる南君に、正直戸惑ってしまう。俊雄さんは積極的な方じゃないから。
結局、強引に観覧車に乗せられてしまった。南君は私の向かいに座り、ジッと見詰めてくる。
「私の顔に何かついてる?」
「やっぱり亜紀ちゃんは可愛いなって思って見てた」
「もう。そうやって色んな女の子に声掛けているんでしょ? それに私には彼氏がいるから、ちょっかいを掛けても無駄だよ」
「え!? 彼氏いるの!?」
「うん」
「……そっか」
しばし俯いて、考えるポーズをとる南君だけど、次に出た言葉に驚く。