【前回の記事を読む】社長令嬢の妊娠は嘘だった――それでも、結婚した私ではなく彼女を選んだ本当の理由は……
不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~
悠希さんを取ると言いたげだった俊雄さん。いくら優しくても、私の事を本当に好きなのか疑問に思えてしまう程だった。
家を飛び出したのは良いけど、行く当てがない。夜の街はネオンが綺麗で、視界に入るのは幸せそうなカップルばかりだ。
独りになるのが寂しくて、わざと人気の多い中を歩いて行く。まるでウインドーショッピングをしているかのように装って。
そんな時、目に入ったのはウェディングドレスのディスプレイだった。真っ白なドレス。俊雄さんと式を挙げる時には着たいと思っていた物。
「もしかして、結婚式が間近?」
ハッとして声の方を振り向くと、そこには南君がいて、笑顔で手をヒラヒラと振ってきた。その顔を見たら、気が緩んでしまい、涙が頬を伝っていく。
「ちょっと、どうしたの!?」
一度流れ始めた涙は止まらなくなり、拭っても拭っても溢れてくる。
「亜紀ちゃん、そこの喫茶店に入ろうか」
背中を優しく押されて、直ぐ近くの喫茶店に南君と入った。
「とりあえず、コーヒーで良い?」
私は小さく頷いた。南君がウエイトレスに注文をすると、彼氏と喧嘩でもしたの?と訊いてきた。
「ん……そんなとこ」
「やっぱり悠希さんが原因?」
「ん……」
「でも、妊娠の件は嘘だって分かった訳だし、他に何の問題があるの?」
コーヒーが運ばれて来て、私は一口飲んで喉を潤す。
「実は……」
私はザッと説明をした。悠希さんが俊雄さんと結婚をしないと自殺すると言い出している事も。
「うっわ、最悪な展開じゃん」
そう何もかもが最悪だ。
「これからどうするの?」
「分かんない。俊雄さんとは別れる事になるだろうし、実家にでも帰ろうかな……」
「そんな悲しい顔して帰ったら、親が心配するよ! ……どう? 俺とシェアハウスしない?」
「は?」
どうしてそんな展開になるのだろうか。