【前回の記事を読む】「実はゴムの先に、針で穴を空けておいたんですの」妊娠を盾に迫られた選択――だが彼女の言っていることは怪しく……
不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~
あの産婦人科の医師が嘘を言っている可能性がありながらも、どうしたら確かめられるだろうか。
「はぁ」
溜め息ばかりが出てしまう。
「どうしたの? 亜紀ちゃん」
「南君……何でもないよ」
「彼氏とは上手くいってる?」
南君に思わず相談しそうになるのを、グッと抑える。彼まで巻き込みたくないし、自分達の問題だ。
「――にしてもさ、あの悠希さんって人、とんでもない人だったね。片思いの恋があんなにも違う方向に発展してしまうなんて、珍しいよ」
珍しいで済めばどんなに良い事だろう。悠希さんは何て言うか、失礼だけどある意味異常だ。あそこまで俊雄さんに執着するのは、関係を持った初めての相手だから? それともそんなに愛する感情があるの?
考えれば考える程、悠希さんを理解できないでいた。
「はぁ」
「あー、また溜め息。悩みなら聞くよ?」
「悩み……というか、悠希さんってどうしてあんなに意思が強いんだろうなって」
「恋に恋する夢子ちゃんだからだよ。運命とか言ってたでしょ? そういう子は初めの恋が結ばれるって確信めいたものを持ってる人が多いよ」
南君が語る。
「俺さ、色んな女の子知ってるから断言できる。でも、解決したんじゃないの? ……もしかしてまだ揉めてるの?」
「揉めてるって言うか……」
「案外妊娠ネタでてきた?」
「どうして――あ……」
「そっか、やっぱりそうきたか」
どうして南君には分かるのだろう?
「既成事実を作れば早いからね。ただ、本当に妊娠していたらだけど」
「だって、彼女が産婦人科で診察してもらうのを俊雄さんに立ち会ってもらって……確認したんだよ?」
「もしかして、その医師が彼女の知り合いとかだったら怪しいよ」
「医師は彼女の父親の友達らしいけど、妊娠の結果で嘘を言っているか確かめる術がないじゃない」
そんな時、ぬっと長澤さんが私達の間に入って来た。
「仕事中だぞー」
「すみません」
「でも、面白そうな話してたな。一口乗っても良いぞ」
「は?」
長澤さんが言うには、自分の奥様の妊娠を確認する為にその産婦人科に行き、何らかの証拠を見つけようというものだった。南君もその話に乗ったと言って、決行をいつにするかなんて話にまで発展していた。
結局、長澤さんとその奥さん、南君で産婦人科へ行く事となった。