そして、当日。
私はいてもたってもいられなくて、病院の待合室にさり気なく陣取った。
成り行きとしては、夫婦で診察室に入り、奥様が妊娠していなくて激しく取り乱し、医師を診察室から出るように仕向け、その間に南君が診察室に入ってデータを調べるというものだ。
予定通り診察室から奥さんの喚き声が聞こえた。そして落ち着かせようと、長澤さんと奥さんが医師と一緒に診察室から出て来て……
この作戦が無事に成功しますように……!
ただ、ただそう祈った。
数分後、スマホにLINEが届いた。南君からで『OK』というスタンプと共に、病院の隣にある喫茶店で落ち合おう、とあった。
それから私は、病院の隣にある喫茶店で三人と合流し、結果を聞く事となった。
「結論から言うと、妊娠は嘘だね。医師が席を立った隙にちょっとパソコンのデータを弄ってカルテを見たんだけど、田中悠希に妊娠の記述はなかった。代わりに、想像妊娠という言葉が書いてあったよ」
長澤さんが簡潔に説明をしてくれた。
「想像妊娠って、妊娠初期と同じ症状が出るってものですか?」
「そうね。余程妊娠したかったんでしょうね」
長澤さんの奥様がそう付け足す。
でも、これでハッキリした。悠希さんは俊雄さんの子どもを身籠っていない。
俊雄さんや悠希さんに見せた画像は違う人の可能性があると長澤さんが言う。それなら全てが繋がったと思える。
これで悠希さんに対処できる。俊雄さんと別れないで済む。喜びの感情が溢れてきた。
この事は直ぐに俊雄さんに知らせた方が良いと思い、今夜話そうと決意した。