【前回の記事を読む】目を開けるとそこにはベッドに縛り付けられた彼氏が――動けない私の前で繰り広げられた異常な光景に血の気が引いた
不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~
真由と水野さんは笑みを浮かべて、重なる二人を眺めている。隙があるとしたら、今なのかもしれない。
私は力一杯椅子ごと立ち上がり、まずは水野さんに椅子の脚を思い切りぶつけた。
「うわぁあ!」
衝撃が大きかったらしく、水野さんは倒れ込み、壁に頭をぶつけて気を失った。次は真由だ。こんな手荒な真似はしたくないけど、真由目掛けて椅子の脚をぶつけようとするも、サッとよけられる。
「翔になんて事をするのよ!」
逆に真由に突き飛ばされてしまい、よろめくが必死に堪える。時間がない今、最後の力を振り絞って、再度真由に椅子の脚をぶつけようと、グルリと回転をする。今度は上手くいき、ヒットして真由は床に倒れ込んだ。
次に私はベッドに上り、勢い良く悠希さんに体当たりをした。
「きゃっ!」
体当たりの反動で、悠希さんはベッドから転げ落ちる。
「な、なんて乱暴な事をなさいますの! 後少しで私の中に俊雄さんが熱いモノを注いでくれる予定なのに……!」
悠希さんが私に向かって来る。さっき体当たりをしたせいか、私の手を縛っている紐が緩んだ。紐から手を抜くと、椅子に縛り付けてある体の紐をほどき……
「悠希さんは間違ってる! こんな強引な事をしても、俊雄さんの心は得られないよ!」
「そんな事ありませんわ。体を重ねていけば気持ちも重なるはずですわ。そして赤ちゃんと三人家族になるんですの!」
「妄想も大概にして!」
私はベッドに縛られている俊雄さんの紐をほどき、何とか助け出す事ができた。
「俊雄さん、行こっ!」
「ああ!」
俊雄さんは自分の服をかき集め、私と一緒に部屋を脱出した。そして、服を着た俊雄さんとホテルを後にする。