【前回の記事を読む】ギャンブルに年収の半分以上を使ってしまい…。特にスロットは勝とうが負けようが、紙幣を機械に吸わせる行為がやめられなくなった
低俗な遊び
男に会うとき、特段何も思わない。ただただ今日はどんなことセができるだろうか。そもそもことセができる人間なのだろうか。
もしかしてからセだけしかできないなんて、そんな相手じゃないよな⋯⋯とかその程度のことしか考えない。
会ってしまえばたいてい楽しいし、楽しませる自信もあるし、だけどそんな中で実は腹の中ではこの男は××と比べると上だとか下だとかランク付けをしていたりもする。
最後に我を忘れるような恋をしたのは高校生の時だ。あの頃私は今以上に他人の承認なしでは立っているのも難しかった。
自分を猛烈に求めてくれる人間を受け入れ、彼らの束縛や強すぎる性欲に振り回されることで生を保っていた。
自身の体と心に依存させることで、若い彼らを私なしでは生きられない体と心に仕上げたはずが、それに失敗していると分かったのは高校三年生の時だった。
周囲が一様に大学受験へとムードを高めていく中で、彼は上手にそちら側にシフトしていった。私の身体や心への執着なんて小さくて取るに足りないものだった。
目の前の性欲と、自身のこれからの人生を懸けた受験。比べるまでもなく私に勝ち目はなかったのだ。
だが受験だなんていかにも魅力的でない、ださくて、平凡で、退屈なそれに負けてしまうなんて、当時の私にとっては耐え難かった。
毎日泣いて泣いて夜は眠れず、自分の出自や生い立ち、コンプレックスなんかとまぜこぜにして悩み、本当はどれに心を削られ泣いているのか分からないようにして過ごした。
そうして大学生になってからはもう、我を忘れるほどの恋はできなくなった。