【前回の記事を読む】電気の場所を覚えられない、同じ会話を毎日繰り返す。嫌がる夫を無理やり病院に連れていき、発達診断を受けさせた。結果は…
崇高な遊び
競馬、競艇、スロット、パチンコ、麻雀。もっとも時間を費やしたのはスロットで、同じ姿勢で同じことを繰り返すだけなのに、十二時間くらいは平気で過ぎてしまった。
勝とうが負けようが紙幣を機械に吸わせる行為がやめられなくなった。ある時年収の半分以上を一日で使ってしまったことをきっかけに、私はギャンブル界隈からの引退を決意した。とはいえ、時々復刻イベントを実施してしまっている始末である。
夫と付き合ってからも結婚してからも素敵だと思う異性は何度も現れた。
一夫多妻制はそれなりに妥当で魅力的な制度だと思うし、世界でそういう国があるということは、人間は一度に複数を愛することができて当然なのではないかと思う。
愛する、は多少違うかもしれないが、恋なら何歳だっていつからだって何度だって、なんなら同時に何人とだってできるものなのだ。
だけど私はそれができない。妻だから? 母だから? 夫が怒るから? その時起こる様々な人生の変化が怖いから?
だけど生きるために、一日一日を消化する中で、ぱっと華やぐような気持ち(それは他にはそんな気持ちは得られないような極端に特別なものである)を与えてくれるのは、きっと恋なのである。
人生史上もっとも直近で依存し失敗したギャンブルからの立ち直りに一役買ってくれそうなのが、まさにそう、身近で身勝手で一方的な恋心なのだ。