「あった! これこれ!」

「ありですねえ」

米ちゃんの一次審査、突破!

(やったね!)

彼が望んでいるかは別として、心の中でその彼とハイタッチまでしてしまった。

「じゃあ三人でまずは飲みましょう。あとはもう私たち二人でやるんで、最初だけいてもらって、いいところで帰ってくださいね。ほら、文吾くんが家で待ってるからとかなんとか言って」

米ちゃんが私の子どもの名前を出したことで、私は少し現実に引き戻されそうになったが、それでもこれからを考えれば自然と胸がときめいた。米ちゃんは私の代わりに、どんなふうに彼とことセ・からセをするんだろう。

低俗な遊び

先輩が新しい男を紹介してくれた。これから会う新キャラ、私の人生の新しい登場人物の現れに少しだけワクワクする。

私は生きるために世の中の男たちを利用している。そうすることで、生きることが嫌だ、今すぐにやめてしまいたいと思う気持ちを、たとえひとときでも薄めてくれる。

からセに夢中になっているときには無意識的に息を吸ったり吐いたりできる。あとはもう物理的にご飯をご馳走してくれて食欲を満たしてくれるとか、私の財布にある紙幣を数枚増やしてくれるとか、様々な角度から私の生を担保してくれる。

次に会うその男は駆(かける)というらしい。写真で見せられた彼はいかにも現代っぽく、おしゃれで線が細かった。

次回更新は9月8日(月)、19時の予定です。

 

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