そこで俺は経子さんに提案した。日中は彼女を麻酔薬で眠らせておく。ただ、その間は自発呼吸できないので、人工呼吸器に繋げておく。そして夜になって経子さんと俺が面会する時は麻酔薬を止めて人工呼吸器を外し、筆談したり、リハビリを行うという治療法だ。
経子さんは最初はためらっていたが、俺が毎日梨杏に付き添っているのに感謝して、承諾してくれた。そうして、梨杏の昼夜逆転した生活が始まった。初めは心を閉ざしていた梨杏もその内に俺に心を開くようになっていった。リハビリも順調に進み、歩けるようになっていった。
だが、病院の職員には彼女が再び医療事故で昏睡状態になってしまったと父親に説明させて秘密にした。その頃、経子さんは学校や教育委員会を訴えようとしていたが、梨杏の秘密が世間に暴かれるのを恐れてやめてしまった。」
次回更新は8月17日(日)、11時の予定です。
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