夜間頻尿の治療の流れ

夜間頻尿は、泌尿器科疾患があればその薬剤によるコントロールが先決です。残尿を減らし膀胱過敏を安定化しておくことが前提条件です。特に高齢者の場合では、下部尿路の前立腺の状態や膀胱機能が多くは若い頃のように正常ではなく、老化がみられます。

老化の一つである前立腺肥大症は高齢男性4〜5人に1人と罹患率が多く、疾患をもつ人は排尿を正常化させて残尿を減らしておく必要があり、治療を受ければ軽い症状の人は1週間も経たずに内服継続で改善し維持できる場合もあります。膀胱だけをとってみても80代ではかなり筋張って柔軟性が落ちていることが内視鏡検査でもわかります。

そして男女共に 60代以上から徐々に尿意切迫、尿失禁等の過活動膀胱症状が加わり、80代で急激に増加するという統計があり、1回排尿量が少なくなって夜間頻尿が増加することは、先に触れました。膀胱と前立腺のバランス調整をし、尿が漏れることなく排尿を改善して残尿を減らすのです。失禁と排尿困難の両極端に振れないような調整が大切です。

内服治療でだいたい即効効果は得られますが、あくまでもコントロールしているだけで、内服を止めれば元に戻ります。膀胱と前立腺のバランス調整をします。きちんと内服していても夜間頻尿2 回以上が常態化している場合もあります。

このような高齢者に求められる当院の生活指導は、一言でいえば、まず、よく動き、しっかり食べて、冷えないよう活動水準を上げてぐっすり睡眠をとることです。夜間頻尿の発生する根本の一つは、代謝とそれによる血液移動や血液配分などで引き起こされる生体機能にあると考えているからです。これについては、後の章で詳細を述べます。

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