「マジメ、お前とは、この先も仲良くやれそうだ。小学校を卒業しても、暇があったらまた川で遊ぼうぜ。河原でマシュマロ焼いて、スモア作ったりしてさ」
俺がそう言うと、マジメは少し間を置いて、
「それは楽しそうですね」と言った。そしてマジメは、
「おじさんは、どうしてこんなくだらないことに一生懸命になるのですか?」と聞いた。
「お前、そんな風に思ってたのか」
「こんなことに時間を費やすのって、無駄じゃないですか?」
俺は、心を許していたマジメに、突然刺されたような気持ちになった。
「大人になるにつれて、何かに意味を持たせるのが当たり前になってくるよな。理由があると安心するから、どうしてってすぐ理由探しをする。だけど俺は、実際は、もっと単純なものに人は動かされていると思うんだよ。マジメ、何にでも意味を持たせるな。やりたいからやる、それだけだ」
俺は、自分への励ましを込めて、そう言った。
「おじさん……」
マジメが何か言いかけたその時、罠が作動する音がした。俺の頭の中に、すっかり姿を消していた河童が、再び姿を現した。
「河童! かかったか!」
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