俳句・短歌 歴史・地理 歌集 古事記 2020.09.06 歌集「古事記物語・異聞」より三首 歌集 古事記物語・異聞 【第11回】 松下 正樹 私たちの太陽(アマテラス)はどこへ行ったのだ? 日本人の原像がまざまざとよみがえる。 日本最古の史書『古事記』に登場する神々の世界を詠う、他に類を見ない叙事的な歌集。叙情的な文語と明快な口語を絶妙に組み合わせながら、神々の悲哀と愛憎をつぶさに表現する。 日本の神々は、民と交わり、民とともに働き、人間同様死にゆく存在でもある。 王国の成立と興亡の歴史が秘められた『古事記』の世界を、人々の悲しみと喜びを歌で再現。日本人の原点の物語を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 伊耶那美は起きあがりたりすぐさまに 伊耶那岐の後を追ひかける 私の恥ずかしい姿見たからには あなたを地上には帰せません 逃れては追ひかけゆけば息あへぐ 黄泉つひら坂にたどり着きけり
エッセイ 『プリン騒動[人気連載ピックアップ]』 【新連載】 風間 恵子 「そんなプリンなんか作ってないで、早くメシのしたくしろ!」台所で一挙手一投足に怒り狂う義父。言葉の暴力が鉛となって心臓を突き抜けた。 ある晩のことだった。三人で、夕食のしたくをしていた。この三人と言うのは、舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)・嫁すなわち、私の事である。台所は女の神聖な場所と考えられているのではないか。しかし、この家では、舅が当たり前のように立つことが多い。自分が調理したものは自慢をするが、人の作った料理は決して、美味しいとは言わない。逆に貶す事に喜びを感じるタイプである。野菜の切り方から、味つけまでを一つ一つ指摘…
小説 『溶けるひと』 【第16回】 丸橋 賢 知人家族の葬式から帰ると、玄関には脱ぎ捨てられた靴が... 目に入ってきた光景をすぐに信じることが出来なかった。 良助は幾度も畳に手をついて頭を下げるが、言葉がない。西向きに敷かれた布団に横たわった未知夫の顔には白い布がかけられ、菊の花が活けられ、線香の香りが満ちている。十一人の弔問客で部屋はいっぱいだ。「ご愁傷様です。心からご冥福をお祈りします。私どもも未知夫君のことを一緒に受け止めさせていただいて、ご両親のお力になりたいと思います。どうかお力を落とさないで」中井は気丈にそこまで言って言葉に詰まった。実は…