【前回記事を読む】さっきまで私に牙を向けていた狼たちは、血まみれで倒れていた。訳も分からずいると「無事か?」――突如現れたその人は…
第二章 旅立ちと仲間
突如現れたその人は
「え、うん。あんたも知ってるんだ」
「そいつらの仲間か?」
「ううん。真逆。むしろ殴り込みに近いかも」
「……」
そう言うとまた男の子は黙り込んだ。
助けてもらっておいてなんだけど、この人は苦手だ。口数が少ないしコミュニケーションが取りにくい。こういう人が、ナギサが言う「陰キャ」とか、態度が悪い人っていうやつなのかな。と、本日二度目のため息を零す。
男の子はしばらくすると、また元の調子に戻って質問してきた。
「もっと具体的な理由。なんでリベドルトを目指しているのか、なんでその存在を知っているのか」
「えっとね……私の育ての親はリベドルトに作られたロボットなんだけどね、その人が壊れちゃったの。だから、リベドルトに行けば直す方法がわかるかもなって」
「リベドルトについてどんなことを知ってる。支部の場所とか、権力者とか、なんでもいいから」
自己紹介はしないのに、リベドルトに関してはやけに食い気味に質問してくる。いったい、なぜそこまでリベドルトについて知りたいのだろうか。
この人が、もしも普通にこの世界に生まれて育ったのなら、リベドルトなんて危険(そう)な組織、知らないほうが当然だ。なのに、名前を聞いた途端、食い気味に質問してくるほどの執着を持っている。もしかしたらリベドルトを同じく目指しているかもしれない。
それなら申し訳ない。こっちはリベドルトのことは「危ない科学組織」というのと「だいたいの場所」しかわからないのだ。
「危ない謎の科学組織……ってことだけ」
「……はあ」