ティーナが答えると、男の子はすぐにため息をついた。そこでティーナのイライラゲージは五十パーセントを超えて、段々とそのイライラが態度や口調にまで出てくるようになった。「なんでため息?」
「いや、なんでもない。あー、それより自己紹介だったか? 俺の名前はログ。お前と同じく、リベドルトを目指して旅してる。年は十五」
「……年上なんだ」
続いて、なぜリベドルトに関してそこまで食い気味に詰めてくるのか聞こうとしたら、ログは「それじゃ……」と続けて先手をとった。
「それじゃあもう行くわ」
「いや、だからなんで行こうとすんの!!!!!!」
結局今日は、ログと一緒に公園の跡地で寝ることにした。自分にとっては初めて見る人間で、このまま「じゃあね」だけで別れることは避けたかった。
一方のログは、それはもう態度が悪くてあからさまに機嫌が悪い。
「ログはなんで旅してるの?」
さっき獲れた狼の肉を焼きながら、ログに話しかける。
「別に」
「理由を聞いているんだけど。なんなの? 『別に』が理由?」
理由を聞いても答えないその態度にさすがにまじめに腹が立ち始め、睨みつけて言った。ナギサ曰く、女性がこういうふうに不機嫌そうに言うとちょっと空気が悪くなるらしい。
「……いろいろ。家出のついでみたいなもんだよ」
「家出って……」
「もう理由は言っただろ。これ以上は聞くな」
家出、という言葉が少し気になったが、あまり触れてはいけないものだと思い、考えないようにした。それよりも……
さっきの狼の時みたいに、この調子じゃリベドルトどころか、ウィングフィールドにも着けずに死ぬ。
そのためには、ログの力が必要だ。ログの力は本当にすごい。認めたくはないけれど、自分より遥かに強い。
「あのさ」
「?」
勇気を出して、とりあえず冗談みたいな感じで誘ってみることにした。