【前回記事を読む】雷が落ちて真っ赤に燃えた木が倒れかかってきているのに、足が全く動かない……このままじゃ本当に死んでしまう。だ、誰か…
第二章 旅立ちと仲間
臆病者
「なにがそんなに嫌なんだ? 自分より可愛い奴を彼女にしたいんだろ?」(そう、思い込んでいるだけ……)
言われてみれば、今まで戦闘で恐怖を感じたことなんて、ほぼない。ただ、「できないと思っているだけ」だ。
「……そう、だね。うん……本当は僕、そんなに怖くないかもしれない。でも、できないんだよ」
「お前、猛獣と戦った経験は?」
「ないよ。できるわけないもん」
(できるわけない、か……)
やっぱり、とログはため息をつく。
「できる。燃えてる木を切り倒せるんだからできる」
「なんでわかるのさ」
「勘だよ。その小せえ体で、でっかい斧持てるんだからできるだろ」
「……家族にさえ見捨てられるような弱虫の僕が、どうやって戦うんだよ」
「え?」
吐き捨てるように言い、ログのことを睨みつけた。そして、すぐに柔らかい目つきに戻り、ため息をつきながらうつむいた。ずっと自分より下だと思っていた相手に睨まれて、ログは一瞬ひるんでしまった。ジョシュは、しばらくなにかを言おうとしてはやめ、口を少し開けたまま、なにかを考えていた。そして、腹に溜まった感情をすべて吐き出すように、話し始めた。
「……僕はね、『村』出身なんだ。人口二桁しかいないけど。そこは優秀さだけで人の価値を決める場所だった」