「あーしと一緒に旅しない?」
「やだよ」
またもや、食い気味に言われた。
「アッシュウルフごときで死にかけているような相手とタッグを組むメリットがない。足手まといだ」
ティーナは「足手まとい」という無礼な発言に言い返した。
「失礼すぎじゃない!? 事実だけどさ!!」
「っるーせな! 逆にお前は俺と組んでなにかメリットでもあるのかよ!」
「ゔっ……」
あんたの力はすごい、って言うのも癪に障るが、それ以上に、本当の目的がばれたくない。
「もしかして、一人だと怖いとか?」
バレたくないと思った直後、図星をつかれてびくりと固まった。
「あー、図星か。まぁ、俺がいないと死ぬっていうのもあるだろうな」
「もういい!」
二つの目的が同時にばれてしまったことが悔しくて、恥ずかしくて、焼けた骨付き肉を思いっきりログに投げつけた。
「できたよ!」
「おわっと、あぶねえ」
ログはティーナが投げた骨付き肉の骨をキャッチして「ありがとな」と言って食べ始めた。こいつ、うざい。
そう思いながら、ティーナも骨付き肉を食べ始めた。アッシュウルフの肉は頬がとろけ落ちそうなほどうまかったが、ログに馬鹿にされたせいでとても苦くまずく感じた。
「あんた、性格悪いって言われるでしょ」
「言われる相手がまずいねえよ。それよりお前、本当にリベドルトについてなにも知らねーのか?」
「うん」
「……はぁ。手がかりゼロか」
またもやため息をつかれた。
もう話すのが面倒くさくなって、食べ終わったらすぐに寝た。
次回更新は6月30日(月)、12時の予定です。
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